こんにちは、ナグです。
今回ご紹介する本は、これからの時代を生き抜く大人たちのための指南書。
『35歳の教科書』(藤原和博著 ちくま文庫)
です!
「このまま30代を無為に過ごしていいの?」
「漠然と自分の将来が不安だ…」
こんな風に考えている方に、充実した人生を送るための指針となる一冊をご紹介します!
「成長社会」から「成熟社会」へ
どこかに「みんなで幸せになれる成功モデル」が落ちているでしょうか。残念ながら、誰も物語を提示してくれないし、敷かれたレールはない。もはや個人がそれぞれの価値観で、独自の幸せを追求する時代に変わってしまったのです。
「Chapter 1[総論]なぜ、人生に戦略が必要なのか」より
「みんな一緒」から「それぞれ一人一人」へと、ものすごい勢いで大きくシフトしている。それが現代なのです。
本書では、現代社会での大人の生き方について知恵を授けるために、幅広いテーマについて深く考察されていますが、著者の主張の土台には「成長社会から成熟社会への時代の変化」があります。
したがって、本書の内容をより深く理解するためには、まず「成長社会、成熟社会とは何か」を理解する必要があります。
「成長社会」と「成熟社会」を対比してみると、次のようになります。
- 成長社会・・・みんな一緒、正解主義、野球型
- 成熟社会・・・それぞれ一人一人、修正主義、サッカー型
筆者は、この変化を例えて「野球の時代からサッカーの時代に変わった」と言います。
野球は基本的に役割が固定され、攻守は順番に入れ替わり、その場に応じて監督が采配する管理野球が常道であることが特徴的。
一方のサッカーは、キーパーを除き野球ほど役割固定されておらず、攻守が同時多発的に起こることから(もちろん監督の戦術はあるにせよ)、その場の状況に応じて選手が自分の判断で臨機応変な動きを見せることが特徴です。
つまり、野球型の成長社会では、「良い高校、良い大学に進み、一流企業に就職し…」と、みんな一緒の流れに乗って1つの正解に向かっていれば幸せになれました。
一方のサッカー型である成熟社会は、多様化・複雑化・変化の激しい社会であり、従来のみんな一緒の流れや正解そのものが崩壊しています。したがって、成熟社会ではそれぞれ一人一人が自分だけの「納得解」に向かって行動→修正を繰り返し、幸せを掴み取る必要があります。
本書では、このような複雑な時代を生き抜くための戦法が示されています。
もう名刺は通用しない、働き方ではなく生き方が問われる時代
本書のタイトルでも示されている「35歳」とはどのような年齢でしょう?
私生活では、結婚したり子供ができたりマイホームを建てたり色々あるでしょう。
また、仕事の面では昇進して部下を多く抱えたりなどあると思います。
本書では、35歳という年齢を「人生のクライマックスの開幕まであと数年」と表現します。(カッコイイ!!)
本書の唯一のメッセージは、「組織に埋没するのではなく、自立した個人として人生を設計し、プランニングして、オリジナリティの高い人生を歩んで欲しい。」というものです。
自分自身が自分の人生の主人公として生きていってほしいというメッセージが本書の至る所にちりばめられています。
そこで重要になってくるのが、「未来の自分のために投資する」ことです。
たとえば、地元の小中学校のコミュニティに参加すること。
趣味嗜好の合う人間の集まりではなく、職業も年齢も性別も異なる人たちが集まるコミュニティに参加し交流することで、働き方ではなく生き方が問われる成熟社会において、最も重要な能力の1つであるコミュニケーション能力が磨かれます。
著者は、30代は迷ってもいいと言います。
ただし、「自分の技術は何なのかを見極めること」、「仕事以外に打ち込めることを見つけること」が必須です。
35歳であれば、10年程度仕事を続けているので、何も技術が身についていないなんてことはありません。
30代では、すでに自分が獲得している武器を見極め、それが十分に磨かれているか、磨かれていないのであれば、エネルギーを集中的に注ぎ、磨き上げることが必要になります。
また、「仕事以外に打ち込めること」の条件として、40代、50代と続けられるモノ、自分の技術と合わせて大きなパワーが出ることの2つがあります。
自己理解と自己受容に務め、自分の生き方の納得解を獲得するために、色々なことにチャレンジし、失敗する。
これがオリジナリティの高い人生を歩むための重要な第一歩です。
DADADAの無限サイクルでゴールを目指せ
著者は、今の時代や人生をゴルフに例え、このように言います。
確かに成長社会のルールでは「時間をかけてでも、少ない打数で入れたほうが価値」だったでしょう。しかし、時代は変わりました。今や「とにかく打ったほうが勝ち。手数を出したほうが勝ち。何回打ってもいいから早くカップインしたほうが勝ち」というルールに変わったのです。
「Chapter 2[戦略]戦略的ライフプランニングのすすめ」より
しかもゴルフの場合は18ホールや36ホールですが、人生は180ホールも1800ホールもあるかもしれない。
次々に打って試行錯誤しながら自分の脳と体に、
「どう打てば入りやすいのか」
「砂地と芝生ではどう違うのか」
といった経験を染み込ませていくことが大切。そうやってノウハウを蓄積して早く先に進んだほうが勝ちなのです。
もはや正解のない時代。自分の納得解を見いだすためには、ひたすらチャレンジして場数を踏むしかない。
PDCAサイクル(Plan[計画]→Do[実行]→Check[評価]→Act[改善])というビジネス用語がありますが、多様化・複雑化・変化の激しい現代、4つの段階をきっちり踏んでいては周りに遅れをとります。
そこで筆者は、「DADADA」のサイクルを繰り返すことを勧めます。
現代を生き抜くために必要なのは、実行したらすぐに改善し、改善策を実行したら、また改善というスピードなのです。
決して、PlanやCheckをないがしろにしているわけではないです。
時には悩まず直感に従い、無謀とも思えることにチャレンジしてみる。失敗しても気にしない。DADADAの無限サイクルを実行すれば、いつか必ず未来が拓けるから。この姿勢が重要だと言うわけです。
自分自身のリストラのすすめ
著者は「自分自身のリストラをせよ」といい、以下の習慣をやめてみることを勧めています。
- 【生活態度のリストラ】テレビと新聞をやめてみる
- 【仕事内容のリストラ】接待をやめてみる
- 【思考のリストラ】ポジティブシンキングをやめてみる
個別の項目については、そこまで重要ではないと思います。(僕自身、元々どれもほぼやっていないので、やめるにやめられません)
何が言いたいかというと、断る勇気をもつこと。やめる勇気を奮い起こすこと。とにかく今ある環境や常識を変えてみることです。
こうすることで、生活が、そして人生が一変します。良い方に変わるかそうでないかは、やる(やめる)内容や人によりますが、とにかくやってみなければ良いか悪いかさえも分からない。
DADADAっとやってみて、自分にとって良いものだけ取り入れていけばいいのです。
まとめ「35歳の教科書」
本書では、多様化・複雑化・変化の激しい時代を生き抜くための様々なヒントやツールが紹介されています。
オリジナリティの高い人生を歩むためのポイント(自己理解と自己受容、他者の影響に振り回されない心の強さ、リスクを取る勇気、自分だけの価値観を持つこと、自己表現と才能の発見など)について、著者の経験や客観的事実を基に詳しく書かれています。
いきなりすべてを実行することは難しいですが、本書に書かれていることを少しずつ自分の生活に取り入れ、DADADAの無限サイクルを実行すれば、きっと人生の質が向上していくと思います。
この記事を読んで興味を持たれた方は、ぜひとも本書に目を通してみてくださいね!
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!
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