ストレスを味方につけて人生を変える「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」

メンタル

こんにちは、ナグです。

今回ご紹介する本は、ストレスを乗り越え、人生を充実させる方法に焦点を当てた一冊。

『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』(ケリー・マクゴニガル著 だいわ文庫)

「毎日ストレスにさらされてつらい…」

「日々の生活でのストレスとの付き合い方を知りたい!」

こんな風に考えている方に、ストレスとうまく付き合っていくための実践的なガイドブックとなる一冊をご紹介します!

ストレスは長寿の秘訣!?人はストレス「だけ」では死なない

アメリカで行われた3万人の成人を対象にしたある調査によると、ストレスを受け、さらに「ストレスは健康に悪い」と考えている場合に、死亡リスクが高まったそうです。

なお驚くことには、「ストレスは健康に悪い」と思っていない人たちは、そもそもストレスをあまり感じていない人たちよりも死亡リスクが低かったとのこと。

いきなり本書の核心ですが、ストレスに対処するための最善の方法は、ストレスを減らそう・避けようとするよりも「ストレスについての考え方を改めて、ストレスを受け入れること」です。

「ストレスは害になる」と考えている人は、ストレスに向き合おうとせず、ストレスの原因となっているものごとに対して、努力して改善したり、意識を向けたりするのをやめてしまいます。また、場合によっては、ストレスから逃げるためにお酒などに依存してしまうこともあるでしょう。

一方、ストレスを受け入れ「ストレスは役に立つ面もある」と考えている人は、ストレスにさらされている状況を成長する機会としてとらえます。したがって、自分の置かれている困難な状況をなるべくポジティブに考え、ストレスの原因に対処する方法をしっかりと考え、その原因を克服するか、取り除くか、変化を起こすための対策を講じるのです。

とは言え、ストレス下に置かれてポジティブに考えるなんてなかなか難しいですよね。そこで、本書では、なるべくポジティブな考え方をするための3ステップを紹介しています。

  1. ストレスを感じたら、まずそれを認識する。ストレスを感じていることを受けとめ、体にどんな反応が表れているかにも注意する。
  2. ストレス反応が起きたのは、自分にとって大切なものが脅かされているせいだと認識して、ストレスを受け入れる。ストレスを感じるからには、なにか積極的にやりたいと思っていることがあるはず。脅かされているものは何か?なぜそれはあなたにとって大切なのか?
  3. ストレスを感じたときに生じる力を、ストレスと管理しようとして無駄にせず、利用する。あなたの目標や価値観に合ったことにエネルギーを使うにはどうすれば良いか、考えてみる。

僕は、これは瞑想の考え方と同じだと理解しています。要は、ストレス下にある自分を客観視し、そのときの自分の思考や感情を観察することで、マイナスの感情に惑わされないように自己管理をしましょうということです。

このような対処法を習慣化することで、ストレスとうまく付き合っていけるようになると著者は言います。

では、ストレスを感じている場合、体にはどんな反応が表れるのでしょうか。個人的には、ストレス反応にどんなものがあるかを知っているかどうかで、ストレスにうまく対応できるかどうかが大きく変わってくると感じています。

生きるか死ぬか「闘争・逃走反応」

本書では、典型的なストレス反応として、「闘争・逃走反応」「チャレンジ反応」「思いやり・絆反応」の3つが紹介されています。

まず、見出しにもある「闘争・逃走反応」については、耳にしたことがある方もいるかと思います。これは、動物が身の危険を感じると交感神経が活発になることで、心拍数の上昇、呼吸が速くなります。大昔、猛獣などを相手に狩猟をしていたような時代の名残だそうで、逃げるか闘うかの命の危機に瀕した際、筋肉が緊張して瞬時に行動を起こせるように、身体が準備しているときに起こる反応です。

2つめの「チャレンジ反応」とは、「闘争・逃走反応」と同じような状況で表れるそうですが、大きく違うのは、それほど危険ではない場合に起こるということです。また、「闘争・逃走反応」とは、ストレスホルモンの分泌される割合が異なることから、特にストレスから回復したり、そのストレス経験から学んだりする助けになるそうです。恐怖を感じる状況ではないため、自信が深まり、集中力が高まり、高いパフォーマンスを発揮できる状態になります。

3つ目の「思いやり・絆反応」とは、オキシトシンというホルモンの働きにより、周囲の人間の感情に敏感になり、気持ちを理解する力が強まる反応だそうです。また、恐怖心を和らげ、勇気をもたらす効果も期待できる上に、心臓血管の健康にも効果的と本書では記述されています。オキシトシンは、「幸せホルモン」としてご存知の方も多いと思いますが、意外にもストレス下でも分泌されることがあるようです。

これ以外にもストレス反応の種類はあるようですが、いずれにしてもストレスは必ずしも避ける必要はなく、自分の中にパワーや自信が漲り、身体が高パフォーマンスを発揮する準備をしているのです。

このように、ストレスについて少しの知識を持っていれば、ストレス下でもポジティブに考えることができるような気がしてきませんか?

ストレスを避けることの代償

ストレスを受け入れることの重要性やストレス下における身体の良い反応については、ここまで見てきたとおりです。では逆に、ストレスを避けることは、人生においてどのような悪影響となりうるのでしょうか?

本書では、ストレスを避けることで「①機会を逃す」「②逃げる」「③自分の将来に限界を設ける」といった代償があると記されていますが、僕は、②と③は結局①に繋がると考えています。

たとえば仕事で新規プロジェクトを立ち上げるときなど新しいことにチャレンジする際は、必ずと言っていいほどストレスにさらされることになると思います。そんなとき、ストレスを避けようとチャレンジするのをやめてしまうと、成長の機会を逃してしまい、人生における自分の活動範囲が狭めてしまうことになります。

また、ストレスと「人生の意義」には切っても切れない関係があるようで、2013年のスタンフォード大学とフロリダ州立大学の研究によると、人生に生きがいを感じている人は、あまり感じていない人よりも心配事やストレスが多いそうです。逆に言えば、ストレスを避けすぎることは、人生を貧しいものにしてしまう可能性すらあるということです。

つまり、ストレスを感じるのは人生がうまく行っていないしるしではなく、人生に対してどれだけ熱心に取り組んでいるかのバロメータと考えることもできるというわけです。

まとめ「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」

本書では、ストレスの良い面も悪い面もしっかりと認識したうえで、あえて良い面に目を向けることが推奨されています。

現代社会において「ストレスのかかる状況=命の危機」というようなことが滅多にない以上、そのストレスは乗り越えられるものであり、自分自身の成長の機会であるというは間違いないでしょう。

一つ注意しなければならないのは、決してストレス自体は良いモノではないということです。トラウマになるほどのストレス経験は、心身に悪影響を及ぼし、悪い結果につながることもあります。いくら良い面があるとはいっても、常にストレス状態にあると心身を壊してしまうことは想像に難くありません。

本書は、ストレスに対する新しい視点を与えてくれる興味深い一冊ですが、ストレスへのアプローチは個人差があると思いますので、自分自身の状況をよく理解し、本書の内容を参考にすることが大切です。

この記事を読んで興味を持たれた方は、ぜひとも本書に目を通してみてくださいね!

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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