こんにちは、ナグです。
今回ご紹介する本は、本を読むことの有用性を考えさせてくれる一冊。
『本を読む人だけが手にするもの』(藤原和博著 ちくま文庫)
です!
「読書を娯楽以外で読む目的って何?」
「読書は人生を豊かにしてくれるとか聞くけど具体的にどんな効果があるの?」
こんな風に考えている方に読書の魅力を再認識、深化させてくれる、貴重な一冊をご紹介します!
本を読むだけで10人に1人の逸材になれる!!
読書によって教養を身につけるかどうかは、10パーセントの階層には入れるか否かを決定づける要因になる。
「第1章 本を読むと、何が特か?」より
「パチンコをするか、しないか」で1/2、
「ケータイでネットゲームをするか、しないか」で1/2、
「読書をするか、しないか」(パチンコやゲームに浪費しない時間を読書にあてる)で1/2、
これで、8人に1人つまり(およそ)10人に1人の人材になれるらしい。
少し古いデータですが、2019年の文化庁の調査では、
16歳以上の50%近くの人が読書をしていないという結果が得られたようなので、
「読書をするだけで2人に1人以上の人材になれる」のは間違いなさそうです。
さらに、「読むだけ」から、「読んだ内容を自分のモノにする」ことで、より希少な人材になれるでしょう。
また、著者は、報酬の優劣も読書をするかしないかに左右されると言います。
時間当たりの稼ぐ効率が最も高いのは講演で、日本の有名人では1時間100万円ぐらいの方もいらっしゃるそうです。
こういう方々は、読書により
- 聴衆を満足させられるだけの知識の習得
- 知識のアップデート
を絶えず行っており、さらに読書から得た知識に自らの体験を上乗せした情報を発信することで、
生み出す付加価値を増やしている、つまり自らの希少性を増やしているのです。
スマホで下がる想像力、読書で上がる想像力
解像度が高いものを見れば見るほど人間のイマジネーションのレベルが下がってしまうからだ。
すべてが詳細に見えてしまえば、あいまいな部分を想像する必要はない。
「第1章 本を読むと、何が特か?」より
読書の効果の1つに、「想像力が磨かれる」ということがあります。
読書をしているときの脳内は、どうなっているか考えたことがありますか?
本書(で引用されている「脳を創る読書」(酒井邦嘉著 実業之日本社)」)によると、
文面から得た情報を言葉だけではなく、視覚的に脳内で映像化したり、
過去の自分の体験と照らし合わせて考えたりなど、創造的な脳力がフルに活動しているそうです。
一方、テレビやスマホで映像をみるときは、次から次に飛び込んでくる映像を処理することで精一杯になり、
想像力を働かせる余地がなくなってしまいます。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という場面を本で読んだ場合と映像でみた場合、
どちらが想像力をかき立てられるかを考えてみると、違いは明らかですよね。
要は、読書にはあいまいな部分を想像するプロセスが必要なため、想像力が向上するということです。
「集中力」と「バランス感覚」
集中力が磨かれるのは、言わずもがな。
気づけば数時間経っていたり、周りの音が耳に入らなくなるほど集中したことがある方もいらっしゃると思います。
では「バランス感覚」とは何でしょう?
これは、自分と他者など、自分と世の中全体との距離感を適切に保つ力のことだそうです。
読書をすることで、人生の鳥瞰図が見えるようになるのです。
言い換えると、自分の内なる世界観が広がり、多様な視点を持つことができるようになります。
さらに、著者がいうには、多様な視点を持つことは、人格的な包容力や寛容の基礎にもなり得るとのことです。
自分だけの幸福論を築くための読書
著者は、現代は「成長社会」から「成熟社会」に移行して久しいといいます。
「成長社会」と「成熟社会」とは何か?概ね次のようになります。
成長社会:みんな一緒、ジグソーパズル型思考=正解のある社会
成熟社会:それぞれ一人一人、レゴ型思考=正解のない世界
成長社会では、決まった答えに向かって進んでいけば幸せに近づけました。
しかし、成熟社会では決まった答えがないため、自らで自分の納得できる「納得解」を作り出し、
そこに向かって進んでいくことが、幸福を掴むために必要になります。
つまり、世の中を自分なりに把握し、それに対して自分の人生をどのように位置づけ、
幸福の定義を自分で決めて、そこに向かって進んでいくことが重要だということです。
そして、そのために必要な教養を身につけるためには、読書が欠かせないというわけです。
まとめ「本を読む人だけが手にするもの」
本書は、「教育改革実践家」である著者の異色の経歴に基づき、読書の意義について深く探求された一冊です。
読書について書かれた本の多くで言及されている
「読書を通じて得た知識や気づきを実生活に活かす方法」についても提案されています。
読書は、単なる娯楽や知識の蓄積に留まらず、それを実生活で実践することで初めて意味を持つという考え方です。
また、本書の最大の魅力は、自己成長や価値観、人間性の向上などについて、深い洞察を得られることです。
僕も読書について書かれた本は何冊か読んできましたが、本書以上に「読書と人生」について深く考察され、
しかも機知に富んだ文章で書かれた書籍には出合ったことがないように思います。
この記事を読んで興味を持たれた方は、ぜひとも本書に目を通してみてくださいね!
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!
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